発行日:1993年08月16日 夕刊 ページ:008 面名:2社 文字数:547

■母の血一滴で遺伝病を診断 羊水より安全 金沢医大で新手法

 妊婦のわずかな血液で胎児の重い病気の有無を調べられる技術を金沢医大産婦人科 助教授の高林晴夫さんたちが開発した。基礎研究として胎児の性別判定に成功した。 従来の羊水検査などより安全な出生前診断が可能になる。九月にイタリアで開かれる 国際周産期学会で発表する。

 胎児の細胞は胎盤を経て母体側にわずかに漏れている。母体血中の胎児細胞を調べ れば胎児の出生前検査ができるが、母体の細胞との判別が課題だった。高林さんは、 ふつうの赤血球には核がないのに胎児血には核がある赤血球が混じっていることに注 目した。

 妊婦の同意を得て、血液二ミリリットルを取り、軽い胎児の赤血球を比重で分けた 。さらに、両者の形の違いを利用、顕微鏡で見ながら細いガラス管を使って胎児の有 核赤血球を一個ずつ取り出し、遺伝子を大量に増やした。

 この遺伝子で男性特有のY染色体の遺伝子を調べたところ、男児を妊娠中の母親五 人の血液からは遺伝子を検出、女児の母親五人からは検出できなかった。

 この方法は、有核赤血球が胎児血中に一定量以上ある妊娠八週から二十三週ごろま で使えるという。

 高林さんは「今後、実際の病気の診断ができるか研究を進める。まだ、羊水検査と 同じくらい確実な診断ができるわけではないが、二、三年のうちに臨床応用できるよ うにしたい」と話している。 ----------------------------------------------------------------------------