発行日:1995年04月25日 朝刊 ページ:029 面名:3社 文字数:643

■母親の採血から成功 胎児の筋ジストロフィー診断 千葉県の病院

 妊娠中の母親の血液に混じっている胎児の細胞の遺伝子を分析し、胎児が筋ジスト ロフィーかどうかを診断することに、国立精神・神経センター国府台(こうのだい) 病院(千葉県市川市)産婦人科の関沢明彦さんらが成功した。二十四日、名古屋市で 開かれた日本産科婦人科学会で発表した。

 胎児の血液細胞のうち、赤血球のもとになる赤芽球は、妊娠五週目ごろから母親の 血液の中にわずかに混じってくる。赤芽球は遺伝子を含む核があるので、核をもたな い母親の赤血球と、顕微鏡で識別できる。

 関沢さんらは、妊娠八―二十週の女性二十四人の血液から、顕微鏡を見ながら、細 いガラス管を使って胎児の赤芽球を一つひとつ取り出し、筋ジストロフィーに関係す る遺伝子を調べた。その結果、どの胎児も筋ジストロフィーではないことがわかった 。

 これまでの出生前診断は、羊水の中に浮かぶ胎児の細胞を調べる「羊水検査」や、 胎盤のもとになる「じゅう毛」の細胞を調べる方法などが使われているが、母体や胎 児を傷つける恐れがあった。

 赤芽球を使う今回の方法は、すでに性別判定や一部の遺伝病に応用されているが、 今後、多くの遺伝病を診断するのに使われそうだ。

 ○母親の血液から胎児の細胞を取り出す方法を開発した金沢医大の高林晴夫・助教 授 今後、出生前診断が可能な病気は増えてくるだろう。問題は、母親からの採血と いう、より安全な方法になると、多くの妊婦に行われかねない点だ。診断の結果、母 親が中絶を希望したらどうするのか、といった倫理的な問題をきちんと議論すること が大切だ。 ----------------------------------------------------------------------------