April 26,1996Ver.4
ワーキング・グループ
最終報告
LAN環境が医学教育に及ぼす効用とは?
Key words:
医学教育,LAN,multimedia, Intelligence On Demand(IOD),
Internet, 情報通信革命,e-mail,WWW,デジタル化, ボーダレス化,
情報コンセント,4A,interactivity,conviviality, cyberspace,
電子掲示板,ハイパーノート,netizen,netiquette,mobile computing
内容
1. はじめに
2. 目標
3. 具体案
4. 効果
5. 留意点
6. まとめ
7. 参考資料
連絡先:
産婦人科 高林 晴夫
Fax 0762-86-2629
E-mail obgykmu@po.infosphere.or.jp
[はじめに]
現在、情報通信革命が地球的規模で急速な勢いで進行中である。
その中核、実体はインターネットである。インターネットの普及に
より文化的、社会的、経済的基盤が急激に変化し、再構築されよう
としている。
また情報通信革命の最大の恩恵は教育、医療現場にもたらされる
ともいわれている。
従って、医学教育の現場でもその環境、基盤が旧来とは一変する
ことは避け難く、そうした変化に速やかに適切に対応してゆくこと
が本学においても緊要な課題と考えられる。
したがって、本学にLANが構築されようとする現在、本学の学生
および教育現場に具体的にどのようにLAN環境を提供し、そのLAN
環境を活用し、またどのような教育効果が期待できるのか考えてみ
たい。
[目標]
1.Students First!
本学においてLAN環境が整備されようとする現在、その一番の受
益者は学生でなければならない。学生がLAN環境下でインターネ
ットを縦横に駆使できるようになることは、これからの医学教
育にとって重要な要件とも考えられ、また一つの課題でもある。
2.The Best From The Beginning!
学生には最初から可能な限り最高のLAN環境が享受できるよう
に配慮し、これから本学を目指す高校生にもアピールし、高校生
が積極的に入学を希望する医科大学No.1を目指す。
3.Intelligence On Demand(IOD)
LAN環境を充実させ、4A(anytime, anywhere, anybody, anything)
すなわち、いつでも、どこからでも、だれでも、だれにでも、ど
んなことでも縦横にアクセスできるシステムを構築し、
Intelligence On Demand(IOD)を実現する。
どの学生も学内、外のどこにいても、いつでも世界中の有用な
医学情報に簡単にアクセスすることができる環境
(infrastructure)の創出。医学情報の独占、偏在の排除。
[具体案]
1.なるべく本年度中に本学の全学生にe-mailアドレスを与える。
希望すれば卒業後もe-mailアドレスを所持し得る。
2.大学のhome pageの下部構造として、multimedia教材(例えば
ハイパーノート)をのせ、学生に自由にアクセスさせる。
3.ハイパーノートの作製は、まず実験的に数教科をモデルケース
として取り上げてみる。
4.ハイパーノート等のmultimedia教材の作製にあたって、サポー
ト体制を整える。コンテンツ開発費も予算化する。
5.各学生からのe-mailによる質問は24時間受け入れ、それに対す
る応答は学内の電子掲示板上に公開し、かつ集積する。
6.LANへのアクセスポイント(情報コンセント)を学内の各所
(各講義室1、図書館36、学生ラウンジ16×2、各学生自習室1、
各会議室1、各病棟カンファランス室1、各病棟医師記録室、各
医師当直室1、各外来1 )に設ける。端末は学生もちとする。
7.ビデオプロジェクターを6台(3×2)設置する。
8.公衆回線からのアクセスを高速でストレスなく可能とする。
ISDN回線ポートをサポートする。
9.各科毎に学生向けの推薦home pageを紹介する。
10.情報通信教育を積極的に行なう。2年間の履修が望ましい。
情報通信教育を行う教室をあらたに設け、LAN接続したPCを
60台設置する。
11.情報通信教育を担当する人材を学外も含め幅広く確保する。
12.インターネットの利用にあたって情報通信教育と同時に英語教
育をさらに充実させる必要がある。
13.Multimedia医学教育に要する教員サイドの教育資材を充実させ
る。ノート型PC×20台、LANカード×20、デジタルカメラ。
14.学生のLANアクセスにあたって、公開情報を吟味、厳選する。
一部に制限をもうける。
15.LANアクセスに必要なPCの条件設定については、医学情報ネッ
トワークサポートセンター(仮称)を新設しサポートする。また
セミナーの開催も行う。
16.学生にもhome pageを持たせ自主的に運営させることも考慮す
る。
17.学生指導ファイルを電子化し、指導教員、学年主任が必要時に
データの閲覧、書き込みができるようにする。
[効果]
1.本学の学生が他大学に先駆けて、または遅れずに情報通信革命下
のmultimedia医療環境に速やかに適応できる。
“読み、書き、インターネット”の習得。
2.本学にIntelligence On Demand(IOD)の環境が速やかに実現(お
そらく国内最初)することは、本学のimage-up、アピールにつな
がり、その結果、質の高い学生が本学を目指すことにもなる。
高校生が入りたい医科大学No.1ともなり得る。いまが好機。
3.学内の教職員間、教職員・学生間の疎通がドラステイックに
よくなり、必然的に学内相互のinteractivityは一層よくなること
が期待される。 Convivialityの醸成。
4.学生の主体的、自主的問題解決能力の向上が期待される。
5.世界中のcyberspaceに散在する有用な医学情報にreal-time,
on demand(4A)でアクセス可能となる。医学情報資源の共有化。
医学情報のボーダレス化。
6.学内の電子掲示板上に公開、集積された質疑応答は、近い将来
貴重な教育資源、財産となり、かつ大きな教育効果が期待される。
7.以上の医学教育におけるデジタル化、マルチメデイア化が本学に
速やかに実現すれば、一つのモデルケースとして国内外から多く
の問い合わせ、見学が見込まれる。
[留意点]
1. LANを使ってcyberspaceを医学教育の場として積極的に利用し
ようとすることは、これまでの医学教育を側面から補完ないし補
強するものであり、けっして対立または否定するものではない。
2. Cyberspaceを医学教育に積極的に利用することと対面教育の必
要性を強調することは矛盾することではなく共立することであり
ともに重要である。
3. 医学教育をダイナミックかつシームレスにおこなう場合、教育
研究系LANと診療系LANとの整合性、互換性が保たれることが
望ましい。病院も医学教育の現場であり、教育研究系LANに
病院側からもアクセスできる必要がある。
4. 各教科ごとのハイパーノート作成は困難との懸念もあるが、
少しやってみればそのあまりの簡単さに逆に驚くことになるか
もしれない。
5. Cyberspaceを体験すると人と接することが疎かにならないかと
懸念もあるが、実際には人と接することの真の重要性、意味を
強く認識することとなり、逆に密になるといってよい。
6. Cyberspaceにおいても中傷、いじめ、虚偽等の問題がおこる場
合があり、いわゆるnetizen(net citizen)としてのnetiquette
(net etiquette)の教育も忘れてはならない。
7. LANが構築されるこの機会に医学関連データベースとのオンラ
イン接続を考慮する。
[まとめ]
インターネットを中心としてマルチメディア社会が現実のものと
なろうとしている現在、本学にLAN環境基盤が導入され、医学教育
に縦横に活用されようとすることは、時宜を得たものであり、かつ
不可避のものとおもわれる。
本学のLAN環境を適切に医学教育に利用できれば、以上に述べた
ような先進的な多くの効用が期待される。
[参考資料]
1. イワン・イリイチ「脱学校の社会」,1977
『すぐれた教育制度は三つの目的をもつべきである。
第一は、誰でも学習しようと思えば、それが若いときであろうと
年老いたときであろうと、人生のいついかなる時においてもその
ために必要な手段や教材を利用できるようにしてやること、
第二は自分の知っていることを他の人と分かち合いたいと思う
どんな人に対しても、その知識を彼から学びたいと思う他の人々
を見つけ出せるようにしてやること、
第三は公衆に問題提起しようと思うすべての人々に対して、その
ための機会を与えてやることである。(中略)
すぐれた教育制度の下では、本当に誰もが自由に論じ、自由に集
会を持ち、自由に報道ができるようにし、またそれゆえにそれら
のすべてが十分に教育に役立つものとなるように近代的科学技術
が用いられるべきである。』
2. イワン・イリイチ「コンヴィヴィアリティのための道具」,1989
『科学上の発見は少なくともふたつの相反する利用の仕方がある
ことを認識するだけでいいのだ。ひとつのやりかたは、機能の
専門化と価値の制度化と権力の集中ををもたらし、人々を官僚制
と機械の付属物に変えてしまう。もうひとつのやりかたは、
それぞれの人間の能力と管理と自発性の範囲を拡大する。』
3. 古瀬幸広,広瀬克哉「インターネットが変える世界」,1996
『インターネットのこれまでのメディアにない特徴は二つある。
第一に、新しい形態のコミュニケーションが、私たちに新しい
人間のつきあいをもたらすということ。(中略)電話が普及し
はじめたころのアメリカでは、「こういう便利なものができると
人と人とが会わなくなり、人間が人間らしさを失う」といって
反対する意見があったという。インターネットやパーソナル
コンピュータの普及に対して、同じ論理で反対する人がいるのは
おもしろい。「人間と人間のつきあいが減るのではないか」と
いうのだ。事実は逆である。
第二に、ディジタル情報を容易に共有することができるため、
仕事の効率が飛躍的に向上するということ。』
『高額の予算を費やして大容量のネットワークを作る意義は
どこにあるのか。ゴア(米副大統領)の回答は、
高度な科学技術研究だけでなく一般の人々の教育のためにネッ
トワークを活用することがアメリカ社会全体の長期的な競争力
を確保するから意義があるのだ、というものだった。
したがって、大学や研究所、ハイテク企業のエリート研究者だ
けでなく、小中学生などが学校や公共図書館などで自由に
ネットワークとコンピュータを使い、すぐれた科学技術教育を
受けられる環境を整えることが追求された。』
4. 村井純「インターネット」,1995
『インターネットというのは、個人がみずからの責任で、自由に
情報を公開し、交換し、共有することができるための環境をつく
っていくことに非常に重要な意義があるわけで、そうであれば、
どんな人でも、どんな場所にいても、どんな状況にあっても、そ
うした環境が享受できるような技術に挑戦していかなければな
らないと思います。』
『入学時からコンピュータを使う力やコンピュータ・ネットワー
クに参加するときの基本的な作法ーこれらの能力を識字力(リ
テラシー)になぞらえて、コンピュータ・リテラシーといいます
がーを身につけるような教育の仕組みをつくっています。』
5. 島桂次「電子の火」,1995
『マルチメディアが作り出すネットワーク社会は、中心もなけれ
ば周辺もない。情報発信の機会は、どこにいても、だれであって
も均等に与えられている。それが個人であっても組織であっても、
発信者と受信者は基本的にフラットな関係でむすばれている。
しかも、情報は一方通行ではなく、常にインタラクティブなので
ある。』
6. 吉川英一「マルチメディアとネットワーク」1995
『マルチメディアオンディマンドの応用として第一に教育/学習
の分野があげられる。(中略)最近は「学習者が主体的に
マルチメディアを活用する」方向に重点が置かれるようになった。
そこでは自己表現の手段としてマルチメディアを活用し、理解し
た内容をマルチメディアを利用して表現することが求められる
ようになってきている。』
7. 石井威望「完熟ネットワーク社会」1995
『人間は環境から影響を受ける。明治の文明開化によって学校を
整備したように、情報社会を論ずるばあいでも、社会の基盤整備
としてまず学校のインテリジェント化ということをかんがえる
べきである。(中略)教育とは人間集団が伝統的に受け継いでき
た情報(知識)を次の世代へ伝えていくことだが、形式的に伝統
を守りさえすればよいというものではない。伝統の神髄は守りな
がらも、手段のほうは大胆に変えていかなければならない。
そのためには、先端技術を学校に導入する必要がある。』
8. ニコラス・ネグロポンテ「ビーイング・デジタル」1995
『学習のかなりの部分が、人から教わることでー優れた教師と
優れた教授法によってー達成されるのは確かだが、自分で探求
すること、分かりきっていても一からやり直して自分で発見する
ことの意義はとても大きい。コンピュータが登場するまでは、テ
クノロジーを利用した教育法というと視聴覚機器やテレビを使
った遠隔授業に限られていて、教師は熱中しても生徒はますます
受身になるだけだった。
ところがコンピュータによってこのバランスは大きく崩れた。
実際にやってみて学ぶという方法が、突然、例外でなく原則とし
て扱われるようになった。』
『自然の力と同じように、デジタル時代がやがて来ることは否定
できないし、押しとどめることもできない。その時代の力強い
特徴となるのは、非集中化とグローバル化の進展、対立から調和
への流れ、そして新たな力の発現である。いずれにしても、最終
的にはきっとすべてがうまく行くだろう。』
9. Bruce C. McKenzie,Medicine and the Internet,1996
“Many readers will have thumbed through the heavy tomes
of Index Medicus, the printed biomedical bibliography
from the National Library of Medicine (NLM) in the United
States. Others will have used MEDLINE on CD=ROM.
However, rather than visit your local university campus,
it is possible to conduct MEDLINE searches from your home
or surgery PC.”
10. 西垣通「マルチメディア」1994
『本来どんなメディアも、ヒトの感覚器官の物理的制約を乗り越
えるためなあるのだ。マーシャル・マクルーハンは「電子メディ
アによって身体が拡張される」と叫んで喝采をあびたが、このこ
と自体はべつに当たり前だろう。』
11. 中山信弘「マルチメディアと著作権」
12. 諏訪邦夫「パソコンをどう使うか」
13. 伊藤友八郎、河野光雄「60分でわかるJAVA」
『学校教育は、その一部を残してもっとスリムになっていくだろ
う。NC(ネットワーク・コンピュータ)を使った教育は、
JAVAの力を得て、リアルタイム性のある、しかも個々の状態
にあわせたものとなる。単に現在の「FAX添削」レベルのこと
を言っているのではない。さまざまな情報があふれるインターネ
ットという教科書があるのだ。これからの教師はインターネット
を黒板のように使うことが必要となるだろう。そして、情報を
たくわえる方法ではなく、情報と情報を組み合わせて新たな
ものを生む技術を教えるのである。』
14. 宮崎医科大学附属病院医療情報部教授
吉原博幸「インターネットと医療」全文
『1. はじめに
宮崎医科大学で病院情報システム(HIS)が動き始めて7年が経
過しました。
現在、ほとんどのオーダーが電子的に行えるようになっています
が、問題点も多々あります。最も大きな問題点は、オーダーのみに
留まっており、医師、看護婦等の書く記録が相変わらず紙のカルテ
に書かれていることです。病歴の中で重要な地位を占めるこれらの
生のデータがシステムに載っていないのは深刻な問題です。第二に、
病院情報システムが閉鎖的であるということです。セキュリティー
の問題から閉鎖的であるのであればまだ救いはあるのですが、要す
るに他の施設とのデータの互換が取れていないことが原因ですから、
これまた深刻な問題です。本来、医療データは患者さんに所属する
もので、患者さんは必ずしも一つの施設のみで診療を受けるもので
はありません。他の施設で診療を受けるとき、当然、宮崎医科大学
でのデータも持って行けるのが望ましいのです。
昨今、インターネットという言葉を聴かない日は無いくらい、新
聞、テレビなどで報道されていますが、医療にとってもこのインタ
ーネットは重要な意味を持ち始めています。本稿では、インターネ
ットに関する概説を行い、医療への応用の可能性を示したいと思い
ます。
2. インターネットで何が出来るのか?
この問いは、最近よく聞かれます。答えとしては「何でも出来る
が、待っていてもなにもしてもらえない」が正しいように思います。
インターネットは単なる情報の道路であり、その道路の周辺に集っ
た人たちのつくる一種のコミュニティーですから、それ自体「意味
のある」ものではありません。各人が情報をコミュニティーに投げ
かけることによって、巨大な情報プールが出来、その情報をそれぞ
れの立場から利用する、というのが実体です。また、単なる情報の
通路として利用する形態もあると思います。
インターネットという言葉が日本で市民権を得たのは1年前位か
らですが、その意味はずいぶんと誤解されているように思います。
インターネットは、元々アメリカ国防総省の軍事ネットワークから
発展したもので、すでに20年余の歴史を持っています。現在のよう
な規模に膨れ上がるとは誰も思っていなかったのですが、こうなる
素地は十分ありました。つまり、バラバラな規格で発達した LAN
(Local Area Network)同士をつなぐためには通信手順を規格化する必
要があったわけで、その標準となる手順を20年前に開発したのです。
この手順は TCP/IPと言われるプロトコルで、例えて言うと、情報
を運ぶための封筒に相当します。この標準化された封筒を、徐々に
各国が採用し、現在の巨大なインターネットが誕生したのです。通
信手順が標準化されることによって、様々なメリットが生じます。
たとえば、他の施設とのデータのやりとりが可能になったり、機種
を問わず通信が可能になります。この様な仕組みは、医療にとって
大変有益なインフラということが出来ます。患者さんの病歴は一施
設に留まらないからです。
この様に、インターネットは、施設、地域などに無数にある LAN
をつなぎ合わせた巨大な広域ネットワーク (WAN: Wide Area
Network)であり、それ自体は無色透明なインフラ(道路)にすぎま
せん。この点、商業ネットワーク (NIFTY, PC-VANなど)とは決定的
に違います。商業ネットでは、ある程度の情報がその会社から提供
されます。しかし、インターネットでは、参加する人たちがお互い
に情報を提供する義務があるのです。つまり、この無限な可能性を
秘めた情報の高速道路を使って何をするか、それを考えることが必
要とされているのです。
とはいっても、道路も何もなかった片田舎に突然高速道路が出来、
走る車もないし、どう使ったらいいかわからない、というのが日本
の現状でしょう。ここは、インターネットの先進国、アメリカ合衆
国で、どのような模索と実践がなされているかを参考にするのが良
いと思われます。それには、インターネットに接続してあちこちを
のぞいてみるのが一番ですが、具体的には、やはり電子メイルを利
用した共同作業などが、もっとも現実的な利用方法だろうと思われ
ます。商業ネットワークでも電子メイルが利用できますが、インタ
ーネットでは情報の交換がより自由です。テキスト以外のデータ
(マルチメディア)も利用可能です。つまり、画像データの交換、動
画像通信 (一種のテレビ会議)などが可能です。
3. インターネットの重要な技術、電子メイルとWWW (World-wide
Web)
前述の様に、インターネットの本質は、データ交換の手順の標準
化(TCP/IP)にあるのがわかると思います。この技術の上で、まず
電子メイルが発達しました。電子メイルについては、その名の通り
コンピュータを使ったメイルの交換です。しかし、それはあくまで
も文字だけに限られ、医学データの重要な要素である画像などは交
換できません。ところが、数年前から文字の壁を破る技術が普及し
はじめ、昨年から爆発的な勢いで普及し始めています。それがWWW
(World-wide Web)と言われる技術です。言葉で解説するのは非常に
難しいのですが、文字だけでなく、画像や音声などを同時に取り扱
うことが出来、あたかもカラー印刷の本を見ているように、コンピ
ュータ上でマルチメディア情報を見ることが出来ます。また、この
システムの大きな特徴は、一つのサーバをどのような機種から見て
も同じように見える点にあります。これは、上述の医療情報システ
ムの閉鎖性を打破するのに大きな力となると考えられます。
4. 非互換から互換へ---医療情報自由化のbreak-through
現状では、HIS(Hospital Information System)は、メーカー依存性の
強い、非互換のシステムが乱立しています。非互換とは、
1)ユーザーの端末が自由に選べない。
2)ユーザーアプリケーションに機種依存性が強い。
3)データベースが「そのメーカーのメインフレーム」でしか動か
ないことが多い。
4)データベースに格納されたデータが簡単には他のシステムに移
行できない。
こんな状況では、開発、カスタマイズに多額の費用を要するのは
当然で、HISの将来は暗いと言わざるを得ません。
しかし、前述のごとくこの数年World-Wide Webの考え方が広く浸
透し、学術分野、商業分野での利用が活発になって来ています。私
たちは、上述のHISの非互換の壁を打破する方法として、www
(HTML)を一種のmiddlewareとして使うことによって、OSや機種に
依存しないHISの構築が可能になるのではないかと考えています。
つまり、各施設では自由に個別的なシステムを構築し、メーカー間
の自由競争を保証する。しかし、データをインターネットを通じて
交換するときには、一定の基準を満たした医学情報に変換するわけ
です。こうすることによって、独自性と共通性の両方を満たすこと
が可能で、従来の閉鎖性を克服し、同時に競争の原理を働かせて、
より良いシステムが成長するのです。
5. おわりに
以上、簡単にインターネットと医療との関わりについて述べまし
た。幸いにも、宮崎医科大学は全国的にも類を見ないほどネットワ
ーク環境が整っています。もちろんインターネットにも接続されて
います。学内の端末を使って実際にインターネットの世界をのぞい
てみて下さい。新しい発想が生まれるかもしれません。』
15. 福井医大医学情報センターを視察して
現在、教育研究ネットワーク運営委員会の情報教育ワーキンググ
ループとして、近く導入されることが決定している学内LANを本学
の医学教育にどのように利用したら良いか立案作業中である。
その一環として、平成8年3月11日(月)福井医大医学情報セ
ンターを視察する機会を得て、担当の山下芳範氏より多くの有益な
参考意見を聞くことができたので、以下に列記する。
『1.教育、研究、診療系を最初から一体としてとらえ、LANをフラ
ットな構築としている。たとえば、研究棟からでもカルテの閲覧
は可能である。
2.教育、研究、診療系を分散型ネットワークとして医学情報センタ
ーが管理、運営し、またユーザサポートも同時に行っている。
3.いまのところは、IPアドレスの割り付けは静的としているが、
動的とすることが可能であればその自由度は高く、ユーザー側の
視点に立てばメリットは大きい。キャンパス内のどこからでもア
クセスが可能となる。
4.LANの内側は自由度を高くし、LANの外側からの侵入に対しては
ファイアウォールを2重とし、セキュリティー対策を厳重にして
いる。
5.学生のe-mailアドレスは、現在のところ4年生以下は全員に与え
ている。2年後には学生全員となる予定である。卒業後のアドレ
スの継続保持については、前向きに検討中である。
6.関連病院との接続は戦略的に行い、ネットワーク化を積極的に進
めている。
7.学生には4年生以下全員にhome-pageをもたせ、自立的、主体的
な情報発信を認めている。今のところ学外への発信は原則的には
認めていない。
8.アクセスポイント(情報コンセント)は、トイレと倉庫以外の全
部屋に単数個または複数個設置している。
9.小学校と大学を接続し遠隔講義を行ない、好評を得た。
10.外部からの公衆回線による接続は、ポートが4個しかなく、現在
のところ認めていない。もし認めるならば、アクセスがどこから
あったか、トレースが可能でかつ高速のISDNが好ましい。モデ
ムではトレースは不可能である。
11.学生も教職員もLAN環境が与えられた後、その利用熱は極めて
高く、利用されないことに対する懸念は無用といえる。
12.情報ネットワーク利用規程は、実際にLANが稼働する以前に策
定したほうがよい。
13.ユーザーサポートとして、mailing listが有用である。
14.管理、制約をきらって、民間プロバイダーと契約をする学生が増
えている。
15.情報通信教育はカリキュラムに組み込まれており、進級判定の対
象となっている。
16.学生の端末選定は自由としている。
17.ノート型PCの普及は現在のところ高くないが、急速な増加が見
込まれ、今後mobile computingを念頭にいれて、システムを構
築したら良い。
18.ノート型PC端末の所有率が低いこともあり、学生には今のとこ
ろアクセスポイントを固定している。』