母体血による無侵襲的胎児DNA診断法(Fetal DNA Diagnosis from Maternal Blood, FDD-MB)の開発 −第4報−
金沢医大、うきた病院*、SRL(株)**
高林晴夫、桑原惣隆、浮田俊彦*、伊川和美*、 山藤 薫*、羽重田さおり**
[目的]本会において、これまで我々は母体血中から胎児有核赤血球(NRBC)を高率に発見し、それらをmicromanipulatorを使い選択的に回収し、同時にPCR, FISHによる胎児NRBCのsingle cell analysisにより胎児DNA情報を得ることが可能であることを報告してきた。今回は本法をさらに発展させ、胎児NRBCのprimer extension preamplification (PEP)-PCRによるsingle cell analysisが可能であるか検討した。また、母体血中の胎児NRBCの出現率についても再検討を行った。
[方法]micromanipulatorにより男性胎児NRBC(10個)を単離し、random primerを使いPEP(50 cycles)を行い、続いてDYZ1領域およびTSD領域のprimerを使いそれぞれPCR(40 cycles)を行った。また、NRBCの回収法に改良を加え、正常妊婦(79例)、褥婦(13例)の血中胎児NRBCの出現率を改めて算定し直した。
[成績]単離した男性胎児NRBCのPEP-PCRの結果、すべての細胞からDYZ1, TSD領域のsignalが得られた。また、母体血中のNRBCの出現は、妊娠5週からみられ、妊娠8週以降では全てに出現が確認された。褥婦においては、産褥3日、30日の出現率はそれぞれ86%, 33%であった。
[結論]PCR, multi-color FISH, PEP-PCRによる胎児NRBCのsingle cell analysis が可能となった。我々の開発した本法を用い、さらに将来はPEP-comparative genomic hybridization(CGH)を応用することにより広範な胎児DNA情報が、妊娠8週以降では全妊娠期間を通じて母体血からnon-invasive, risk-freeに得られるようになり、近い将来、本法の幅広い臨床応用、普及が見込まれる。